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国際金融規制強化の動きには「落とし穴」がある

平野英治・メットライフ生命副会長・元日銀理事
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米連邦準備制度理事会(FRB)本部ビル
米連邦準備制度理事会(FRB)本部ビル

 金融庁の森信親長官が国際金融規制強化の流れに疑問を呈する講演を、最近、矢継ぎ早に行っていることが、話題を呼んでいる。

 国際金融規制強化は、主要20カ国・地域(G20)首脳会議などで議論されてきた。世界の主要な金融機関に、自己資本を充実させることや、換金しやすい資産をより多く保有することを義務づけることなどが柱だ。金融危機を未然に防ぐ狙いである。

 森長官は、規制の複雑化に対して、苦言を呈しつつ、<1>規制の方向性が持続的な成長という究極の経済目標と矛盾していないか、<2>個々の規制にはそれなりの意味があるとしても、それらを総合すると意図しない弊害をもたらすのではないか、<3>過去の危機に対する抑止策は、将来の危機対応として限界があるのではないか、という3点を指摘するのがパターンだ。

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平野英治

メットライフ生命副会長・元日銀理事

1950年生まれ。73年、一橋大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。33年あまりの勤務で国際局長や国際関係担当理事を歴任した。金融政策、国際金融の専門家で、金融機関の監督にも手腕をふるった。2006年に日銀理事を退任後、トヨタ自動車グループのトヨタファイナンシャルサービス株式会社に転じ、14年6月まで副社長を務めた。同年9月、メットライフ生命保険日本法人の副会長に就任。経済同友会幹事としても活動している。