
甘くないチョコレートと言ったらいいだろうか。実際には、甘みはあるのだがカカオの芳醇(ほうじゅん)な香りが広がり、苦みと甘みがゆっくりとやってくる。抜けるような酸味の切れ味は、カカオ豆そのものが持つ味の特徴だ。
きっかけはフィリピンのチョコドリンク
渋谷と横浜を結ぶ東急東横線・自由が丘駅からバスで走ること10分ほどの住宅街にxocol(ショコル、東京都世田谷区)の店舗はある。こぢんまりとした可愛らしい店舗の奥が工房だ。2013年にオープンした同店は、代表の君島香奈子さんが製造から販売までのすべてを、ひとりで切り盛りしている。
君島さんがチョコレート作りを始めたきっかけは、11年のフィリピン旅行中に飲んだ1杯のチョコレートドリンクだった。それは、カカオ豆をペースト状にし、タブレット型に固めた「タブリア」と呼ばれるものを、お湯と砂糖、ミルクを入れて溶いたものだった。個性的な味わいに衝撃を受けたという。
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