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「冷戦の雪辱」狙うロシアにオバマ政権はどう対抗するのか

及川正也・論説室専門編集委員
軍拡計画について演説するロシアのプーチン大統領=2015年6月、杉尾直哉撮影
軍拡計画について演説するロシアのプーチン大統領=2015年6月、杉尾直哉撮影

 11月の米大統領選に国民の関心が移る今年、オバマ大統領にとっては、2期8年の政権の総仕上げの年となる。歴代大統領は最後の年に、歴史に名を刻む「遺産」を残すべく、最後の手腕を振るってきた。現在、過激派組織「イスラム国」(IS)や海洋進出を続ける中国など外交課題は山積しているが、最大の難関は東西冷戦の旧敵ロシアだろう。

 「米国に対して実際の脅威を与える可能性がある国を挙げろと言われるなら、ロシアを挙げなければならない」。昨年7月、統合参謀本部議長に指名されたダンフォード海兵隊司令官は、上院軍事委員会の公聴会でこう証言し、ワシントンで波紋を広げた。中国、北朝鮮、ISも脅威対象として列挙したが、軍事力をちらつかせてクリミアを掌握し、ウクライナを揺さぶったロシアを、脅威の筆頭に位置づけたのだ。

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論説室専門編集委員

混迷するアメリカ、強権的なロシアや中国、深刻な核軍拡など米国政治や国際問題に関する社説を担当。隔月で執筆する大型コラム「Scope」では世界の今を深掘りし独自の視点で提言しています。