(C)2016「の・ようなもの のようなもの」製作委員会
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社会・カルチャー週末シネマ

全編に漂う脱力感「の・ようなもの のようなもの」

勝田友巳 / 毎日新聞学芸部長

 まさに、愛すべき小品。どってことのないちっちゃな話に、小さな笑いと哀調があり、最後はささやかに一歩前進。見終わってきっと元気が出る。ただしほんの少しだけ。2011年に亡くなった森田芳光監督の、1981年のデビュー作「の・ようなもの」を知っていれば、感慨もひとしおだろう。

森田芳光監督デビュー作「の・ようなもの」の続編

 志ん田(松山ケンイチ)はさえない前座の落語家だ。会社を辞め、志ん米(尾藤イサオ)の下で内弟子修業中の毎日である。しかしきちょうめんすぎて噺(はなし)に艶がないとダメ出しされ、ひそかに思いを寄せる志ん米の娘・夕美(北川景子)にもいいようにあしらわれるばかり。

 一門会が近づいたある時、後援会長(三田佳子)が「志ん魚の落語が聞きたい」と言い出した。志ん魚(伊藤…

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勝田友巳

勝田友巳

毎日新聞学芸部長

1965年、茨城県出身。北海道大文学部卒。90年毎日新聞に入社し、松本支局、長野支局などを経て、東京本社学芸部。映画を担当して15年、新作映画を追いかける一方、カンヌ、ベルリンなど国際映画祭や撮影現場を訪ね、映画人にも話を聞いて回る日々。毎日新聞紙面で「京都カツドウ屋60年 馬場正男と撮影所」「奇跡 軌跡 毎日映コン70年」の、2本の映画史ものを連載中。