
税務当局は相続税の調査で現金の動きに注目するが、それは申告漏れを疑うからである。それ以外に、相続財産の評価額そのものを調べることもある。申告税額が妥当かどうかをチェックするためだ。
美術的価値のあるなしで評価額は変わる
東京都内のある男性が亡くなった。男性は美術品収集が趣味で、所蔵品の中に、帝政ロシア時代に作られた美術品「インペリアル・イースター・エッグ」のレプリカ(複製品)があった。何年か前に百貨店で億円単位で購入したものだ。このレプリカの申告税額について、税務当局が調査に入ったのである。
インペリアル・イースター・エッグは、帝政ロシアの皇帝アレクサンドル3世、ニコライ2世が19世紀後半から20世紀初頭にかけて、金細工師ピーター・カール・ファベルジェに作らせた精巧な美術工芸品のことだ。
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