高齢化時代の相続税対策 フォロー

帝政ロシアの美術品を相続したら税金はいくら?

広田龍介・税理士

 税務当局は相続税の調査で現金の動きに注目するが、それは申告漏れを疑うからである。それ以外に、相続財産の評価額そのものを調べることもある。申告税額が妥当かどうかをチェックするためだ。

美術的価値のあるなしで評価額は変わる

 東京都内のある男性が亡くなった。男性は美術品収集が趣味で、所蔵品の中に、帝政ロシア時代に作られた美術品「インペリアル・イースター・エッグ」のレプリカ(複製品)があった。何年か前に百貨店で億円単位で購入したものだ。このレプリカの申告税額について、税務当局が調査に入ったのである。

 インペリアル・イースター・エッグは、帝政ロシアの皇帝アレクサンドル3世、ニコライ2世が19世紀後半から20世紀初頭にかけて、金細工師ピーター・カール・ファベルジェに作らせた精巧な美術工芸品のことだ。

この記事は有料記事です。

残り1548文字(全文1896文字)

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。