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認可に落ちて仕事を辞めるのは女ばかりの超理不尽

藤田結子・明治大商学部教授
お兄ちゃんだよ。ちゅっ=関口純撮影
お兄ちゃんだよ。ちゅっ=関口純撮影

 初春、認可保育園に入れるかどうかの結果が自治体から届く時期。不承諾通知を受けた親たちの怒りの声があちらこちらから上がっています。その大半は母親たちの声です。フルタイム共働きでも、保育園に関する諸事はなぜ母親の役割になりがちなのでしょうか。

フルタイム共働きでも保活は母親の責任か

 待機児童数が全国最多の東京都世田谷区では、2016(平成28)年4月入園の認可保育所申込者数が6439人(前年比264人増)に達しました。しかし、入園可能数は3282人(前年比372人増)しかなく、約3000人は入園できません。

 不承諾となった親たちは、不安な気持ちで認可外保育所へ殺到しています。今年は、いったい何人の母親が泣く泣く仕事を辞めることになるのでしょうか。「1億総活躍社会」どころの話ではありません。

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明治大商学部教授

東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。