海外特派員リポート フォロー

TPPに暗雲? トランプ氏“暴言”への喝采と不安

清水憲司・毎日みらい創造ラボ
ネバダ州党員集会で圧勝し、勝利宣言するトランプ氏=2016年2月23日、長野宏美撮影
ネバダ州党員集会で圧勝し、勝利宣言するトランプ氏=2016年2月23日、長野宏美撮影

 米大統領選は、民主、共和両党の候補者指名を争う各州での予備選が進むにつれ、日米など12カ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への反対論が強まっている。選挙のたびに勝利する政党が変わる「スイング・ステート」として知られる中西部オハイオ州で、その理由を探った。

 同州北部の都市クリーブランド郊外。2014年10月に閉鎖された米自動車大手フォードの工場跡地には、青地に「フォード」と大きく書かれたタンクが寂しそうに建っていた。近くのファストフード店の店員ローリー・シューマッハさん(46)は「従業員やガードマン、みんなよく来てくれたのに。たくさんの雇用が失われたわ」と話す。

 店を出て、柵の外側から工場を撮影していると、すぐにパトカーがやってきた。「セキュリティー上、身元を確認しないといけない」という警察官に、日本の新聞記者だと説明すると、「日本のメーカーが工場を買うのか?」と表情が急に和らいだ。そういう話は聞いたことがなく、がっかりさせてしまったが、この街が失ったものの大きさが感じられた。

この記事は有料記事です。

残り1422文字(全文1873文字)

毎日みらい創造ラボ

毎日新聞のファミリービジネス・メディア「リファラバ」編集長。前橋支局、経済部、ワシントン支局など。「日本経済再生のカギはファミリービジネスにあり」と考え、リファラバを立ち上げ。