
米大統領選は、民主、共和両党の候補者指名を争う各州での予備選が進むにつれ、日米など12カ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への反対論が強まっている。選挙のたびに勝利する政党が変わる「スイング・ステート」として知られる中西部オハイオ州で、その理由を探った。
同州北部の都市クリーブランド郊外。2014年10月に閉鎖された米自動車大手フォードの工場跡地には、青地に「フォード」と大きく書かれたタンクが寂しそうに建っていた。近くのファストフード店の店員ローリー・シューマッハさん(46)は「従業員やガードマン、みんなよく来てくれたのに。たくさんの雇用が失われたわ」と話す。
店を出て、柵の外側から工場を撮影していると、すぐにパトカーがやってきた。「セキュリティー上、身元を確認しないといけない」という警察官に、日本の新聞記者だと説明すると、「日本のメーカーが工場を買うのか?」と表情が急に和らいだ。そういう話は聞いたことがなく、がっかりさせてしまったが、この街が失ったものの大きさが感じられた。
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