
素泊まり8500円(税込み)〜
東京で花見を楽しめるホテルをネット検索すると、高額なシティーホテルの名前がずらりと出てくる。たしかにどのホテルも桜の見どころが満載ではあるが、個人的にこの宿は、三つの点で知る人のみ知る、花見にお薦めの宿かと思う。
まずは駅至近であり、桜並木がすぐ目の前という立地の良さ。公共の宿であることから、飲食や宿泊にかかる料金が手ごろであること。そして、著名建築家や芸術家がかかわった貴重な建物でもあること。
JR市ケ谷駅から徒歩2分。靖国通り沿いにもエントランスはあるが、外濠(そとぼり)公園沿いのメインエントランスへと向かう小路は、お花見スポットとして広く知られたまさに桜並木だ。すぐ脇の釣り堀では、お濠に釣り糸を垂らす人たちで席が埋まっている。桜と浮きに交互に目をやりながらの釣りは、さぞかし気持ちがやすらぐことだろう。
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紀行作家、一級建築士
1959年、東京都生まれ。東京工業大学建築学科卒。400軒以上の名建築の宿を宿泊・取材。旅行記、小説、児童文学、写真集を発表している。現在も長編小説を雑誌「ダンスビュウ」に連載中。第10回JTB紀行文学大賞奨励賞受賞。主な著書に「匠たちの名旅館」など。近著に「モデルルームをじっくり見る人ほど『欠陥マンション』をつかみやすい」(小学館)。公式サイトでお勧めホテル、名建築の写真を多数公開中 http://www.naotoinaba.com (顔写真の撮影は寺崎誠三さん)
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