職場のハラスメントどう防ぐ?

上司の過剰な配慮が「別のマタハラ」を生む恐れ

井寄奈美・特定社会保険労務士
  • 文字
  • 印刷

 妊娠した女性社員の業務を軽減することに、異議を唱える人は少ないでしょう。立ち仕事の多い業務から外す、出張の多い部署から異動させるなど、話し合いの上で調整されているケースが大半だと思われます。

 ただ、妊娠女性が処理できなくなった業務は周りの社員が引き受けます。配慮しすぎたため、周りの社員の協力を得られず、結果的に妊娠女性が孤立してしまうケースもあります。

 筆者も会社員時代、妊娠した経験があります。もともと営業職でしたが妊娠5カ月で、アシスタント業務に配置転換になりました。給与など処遇はそのままでした。妊娠しながら働く女性の前例がなかったため、会社、上司は腫れ物を扱うような気遣いをしてくれましたが、筆者の担当業務を突然引き継ぐことになった後輩の女性社員は、大きな負担を感じていたようでした。

 妊娠中は、妊娠前とは違う自分の体調にとまどい、時には終業時刻まで会社にいるのがやっと、ということもありました。終業時刻を過ぎて退社しようとした時に、業務を引き継ぐ後輩の女性社員から「いいですね。正々堂々と早く帰れて。私も早く帰りたいです」と言われたこともありました。

この記事は有料記事です。

残り901文字(全文1383文字)

井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/