さあ、気合いだ。気を引き締めて合同会社説明会会場に向かう学生=竹内紀臣撮影
さあ、気合いだ。気を引き締めて合同会社説明会会場に向かう学生=竹内紀臣撮影

スキル・キャリア新しゅうかつ日記2016

「寝不足とミスと強風」で心と傘が折れる日々

内山勢 / 毎日新聞編集委員

 3月下旬に冠婚葬祭系ベンチャーの内定が出た金子冬美さん(21)=東京の私大文系学部4年=は今も、会社の了解をもらって就活を続けている。

 「最近もいろいろあったんですよ!」。開口一番、金子さんは目をキラキラさせて話し始めた。

 4月中旬、日曜日の風の強い日だった。キャラクターデザインの会社に直接、エントリーシート(ES)を持って行った。

 ところが、紙袋に入れて持っていたESが強風でくしゃくしゃになった。しわを伸ばしてやっと提出したものの、帰り道で致命的な記入ミスがあったことに気付いた。さらに、強風で傘の骨が折れてしまった。なんてついてない日なんだ!と心が折れかかった。

 連日のES締め切りに追われ、寝不足で注意力が散漫になっていたようだ。落ち込んだ金子さん、家に帰って「ESでミスに気付いたときの対処法」を必死に探した。「ミスをしたことは仕方がないが、放っておくのはまずい。誠意を見せよう」というアドバイスを見つけた。

 「誠意? 誠意っって何? 人事部に電話してESの修正をお願いすること?」

 具体的な方法は書いてなかった。「自分で考えろ」ということだろうか。最初電話を考えたが、忙しい人事の手をわずらわせるのは逆効果かもしれない。結局、メールで修正を頼んだ。

合同会社説明会の受付で資料を受け取る学生たち=竹内紀臣撮影
合同会社説明会の受付で資料を受け取る学生たち=竹内紀臣撮影

自分が信じた道を歩くのが正解

 ある教科書系出版社にもESを出した。1次面接に進み、初めてのグループディスカッションに参加した。最初に10分ほど資料を読み、資料を閉じて、自分の意見を述べるスタイルだ。ところが、みな資料を見ながら意見を言い始めた。

 「え? 資料を見ちゃいけないんじゃなかったっけ?」と内心疑問に思いながら、自分は資料を見ないで話した。いったいどう採点するのか、不安だった。

 数日後、その出版社から1次通過の連絡が来た。「やったー!」と母に飛びついた。やはり、自分のやり方が正しかったのだと思えた。本当にうれしい。

 問題のキャラクター会社からはその後連絡がなく、ES修正依頼もスルーされたのだろうと思っていた。するとある日メールが届いた。「1次通過しました」。文字が躍っているように見えた。「ああ、なんて神様みたいな会社なんだろう」。悪いことの後にはいいことがあるものだ。

 <次回の「新しゅうかつ日記2016」は5月14、15日の予定です>

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内山勢

内山勢

毎日新聞編集委員

1983年、毎日新聞社入社。山形支局を振り出しに、週刊「サンデー毎日」、大阪本社社会部、東京経済部各記者、週刊エコノミスト編集委員、BS11プロデューサーなどを経て、2010年4月から、毎日新聞夕刊紙面の「キャンパる」編集長兼編集編成局編集委員兼「教育と新聞」推進本部委員。宇都宮大学客員教授。

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