
東京マーケットの危機−−。いま、わが国の株式市場が未曽有の事態に揺れている。
現物株式の取引量をはるかにしのぐ規模に膨張した先物取引によって、「経済の動きと完全にかけ離れた、激しい値動きの相場に陥っている」(大手証券関係者)からだ。結果として、拡大が期待されている個人投資家のマーケット離れも生じている。証券関係者は頭を痛めるばかりだ。
株式市場は昨年来、過去にはなかったような激しい値動きが続いている。たとえば、日経平均株価が日中、数百円下落した後、逆に数百円上昇するという場面は決して珍しくなくなっている。この背景にあるのが日経平均先物、TOPIX先物、JPX400先物への大量の注文である。それらによって先物市場が乱高下し、現物株式も大きく動くという構図になっている。
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浪川攻
金融ジャーナリスト
1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。