
前から気になっていた岸本斉史「NARUTO −ナルト−」(集英社)を読了した。全72巻。2カ月余かかった。国内はもちろん、海外でも人気のある長編マンガだ。
国の傭兵として使われる忍者の姿を描いている。舞台は架空の時代で架空の都市。彼らは隠れ里と呼ばれる場所で暮らし、壮絶な戦いに明け暮れる。
ストーリーの太い幹は、主人公・ナルトの成長だ。忍者学校の落ちこぼれだった彼が、持ち前の明るさとブレない信念で、国を代表する存在になっていく。逆境にめげないピュアな性格で、物事に果敢に取り組む勇気や、友人を大切にする情の厚さも持ち合わせている。三枚目的なところもあり、周囲からは笑いが絶えない。
印象に残った点を挙げてみよう。ネタバレになるので、未読の方は注意してほしい。
この記事は有料記事です。
残り1873文字(全文2205文字)
投稿にはログインが必要です。
重里徹也
文芸評論家、聖徳大教授
1957年、大阪市生まれ。大阪外国語大(現・大阪大外国語学部)ロシア語学科卒。82年、毎日新聞に入社。東京本社学芸部長、論説委員などを歴任。2015年春から聖徳大教授。著書に「文学館への旅」(毎日新聞社)、共著に「村上春樹で世界を読む」(祥伝社) などがある。