学生たちで混雑する合同会社説明会の会場=竹内紀臣撮影
学生たちで混雑する合同会社説明会の会場=竹内紀臣撮影

スキル・キャリア新しゅうかつ日記2016

キャリアを積みたい女子大女子の孤独な戦い

内山勢 / 毎日新聞編集委員

 秋山葉月さん(21)は、東京都内の名門女子大学に通う4年生。キャリア志向で出版社、総合印刷会社などのマスコミ業種を目指している。

 マイペースで、どちらかというと人見知りする引っ込み思案の性格。就活解禁までにその性格を克服するため、3年生の秋、東京都内の有名インテリアショップでインターンシップ体験をした。しかし、ミスを連発。「私ってこんなに仕事ができないんだ」と落ち込んだ。

 急に性格を変えることはできない。それなら、企業分析をしっかりやって、エントリーシート(ES)や面接に備えようと思った。

女子大特有? 「一般職でいいかな」という心理

 中学まで共学で高校は女子校、親の希望もあって女子大に進んだ。就活が始まると、周りに一般職志望が多く、葉月さんのようにキャリア志望は少数派であることに気がついた。

 マスコミ志望者はさらに少ない。多くの女性アナウンサーを輩出しながら、記者や編集者志向の学生はまったくといっていいほどいない。就活で情報交換する友人も少ない。女子大特有の就活模様だが、葉月さんは一般職志望者にも理解を示す。

 「女子大の学生が、就活で楽をしたいわけじゃない。共学なら自然に男子と対等にやっていくという考えが身に着く。でも、女子大育ちは、確実に職に就きたいという気持ちが強くて、冒険という選択肢がなくなるんじゃないかな」

 周囲には何年か勤めたあと主婦になりたいという人もいる。「一般職と総合職の両方を選べるなら、一般職事務を選ぶ心理は、女子大に特有のものかもしれません」

合同会社説明会では企業側も優秀な学生を獲得しようと、ブースはポップを貼ってアピール=竹内紀臣撮影
合同会社説明会では企業側も優秀な学生を獲得しようと、ブースはポップを貼ってアピール=竹内紀臣撮影

 だが、葉月さんは違う考え方だ。

 「学長も先生も『これからは男女共働きの時代だ』と言います。専業主婦が中心で、働いている親が参加できないPTAはもはや古い時代の仕組みだ、とか。そんな話を聞いていると、ああ、そうだなあと思います」

部屋で自分と向き合う時間がしんどい

 リクルートスーツの人波に圧倒されるのか、と思った合同企業説明会で、落ち着いてけおされることもなく、淡々と就活を始めることができた。

 しかし、外で気を張る分、家に帰ると気持ちが沈む。同じマスコミ志望の友人もいない。自分との闘いの毎日だ。

 「ESを書くときも、自分と向き合わなければいけない。それがとてもいやなんです。部屋で一人、自分と向き合っているとしんどくなる。なので、ESを書くのにすごく時間がかかるんです」

 <「新しゅうかつ日記2016」は毎週土曜、日曜の掲載です>

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内山勢

内山勢

毎日新聞編集委員

1983年、毎日新聞社入社。山形支局を振り出しに、週刊「サンデー毎日」、大阪本社社会部、東京経済部各記者、週刊エコノミスト編集委員、BS11プロデューサーなどを経て、2010年4月から、毎日新聞夕刊紙面の「キャンパる」編集長兼編集編成局編集委員兼「教育と新聞」推進本部委員。宇都宮大学客員教授。

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