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物価の鉄則「インフレは忘れたころにやってくる」

塚崎公義・久留米大学商学部教授
黒田東彦日銀総裁(左)と安倍晋三首相=国会内で2016年3月24日、藤井太郎撮影
黒田東彦日銀総裁(左)と安倍晋三首相=国会内で2016年3月24日、藤井太郎撮影

金融商品の基礎知識(1)

 筆者は、インフレの可能性が高まりつつあると痛感しています。

 バブル崩壊後の長期にわたるデフレで、インフレに対する備えを怠るようになっている人が多いようです。「インフレは忘れた頃にやってくる」ということかもしれませんから、油断は禁物です。

日銀総裁の決意は侮れない

 まず、日銀総裁が2%のインフレ率を目指すと宣言していることを侮ってはいけません。日銀総裁のもくろみが外れて2%の達成に時間がかかっていますが、達成されるまで追加緩和策を含めて執念を持ってさまざまな手段に訴えてくると考えておいた方が良いでしょう。となると、いつかは2%に達するでしょう。

 仮に2%に達しない場合でも、安心はできません。その場合には極端な緩和が続くことになるからです。たとえばインフレ率が10年間続けて1%だとすると、預金金利はゼロが続きますから、預金が10%目減りすることになります。インフレ率は、現在でも原油価格暴落の影響を除くと1%程度ありますから、これは決してあり得ないシナリオではないでしょう。

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久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。「退職金貧乏 定年後の『お金』の話」「老後破産しないためのお金の教科書」「増補改訂 よくわかる日本経済入門」「世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書」「なんだ、そうなのか! 経済入門」など著書多数。