海外特派員リポート

VW排ガススキャンダルが開けた「パンドラの箱」

坂井隆之・統合デジタル取材センター副部長(元ロンドン特派員)
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独ウォルフスブルク駅前に広がるフォルクスワーゲンの工場=2015年9月29日、中西啓介撮影
独ウォルフスブルク駅前に広がるフォルクスワーゲンの工場=2015年9月29日、中西啓介撮影

 昨年9月に発覚した独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)による排ガス検査の不正は、自動車業界にとって「パンドラの箱」だったのかもしれない。4月に明らかになった三菱自動車の燃費不正問題や、欧州で相次ぐ排ガスがらみのリコール(回収・無償修理)を見るにつけ、そう感じている。当局と業界の「なれ合い」のような現行検査を改め、路上走行検査を徹底して実施しない限り、信頼回復は難しいのではないか。

 VWの不正は、ディーゼルエンジンに搭載した違法なソフトウエアを使って、検査の時だけ排ガス浄化装置をフル稼働させて窒素酸化物(NOx)の排出量を基準値以下に抑え、規制をくぐり抜ける手法だ。浄化装置を作動させると燃費や加速力が低下するため、実際に路上を走行する時は装置を停止させていた。その結果、基準値の最大40倍のNOxが大気中にまき散らされていた。

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坂井隆之

統合デジタル取材センター副部長(元ロンドン特派員)

1972年、京都市生まれ。広島大学大学院修了。98年毎日新聞社入社。千葉支局を経て、2003年から経済部で日銀、金融庁、財務省などを担当。12年~16年、欧州総局(ロンドン)特派員として、欧州、中東、ロシア、アフリカの経済ニュースをカバーした。20年4月から現職。共著に「AIが変えるお金の未来」(文春新書)など。