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日銀マイナス金利への批判が筋違いな三つの理由

平野英治・メットライフ生命副会長・元日銀理事
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記者会見で「マイナス金利導入」を発表する日銀の黒田東彦総裁=2016年1月29日、長谷川直亮撮影
記者会見で「マイナス金利導入」を発表する日銀の黒田東彦総裁=2016年1月29日、長谷川直亮撮影

 1月29日のいわゆるマイナス金利導入以来、日銀に対する風当たりが急速に強まっている。景気の低迷に加えて、政策意図に反する円高・株安の進行もあって、日銀は四面楚歌(そか)におかれているようだ。果たして、批判はどこまで妥当だろうか。以下、三つの角度から点検する。

 第一に、金融政策のパフォーマンスを物価と成長という観点から見てみよう。

 実質国内総生産(GDP)は、2014年4月の消費税引き上げの悪影響をこなしながらも、13年から足元にかけて、平均して年率0.5%以上の成長を記録していると考えられる。これは、ゼロ%台前半とされる日本の潜在成長力と比較して、決して悪い数字ではない。

 この間、物価をめぐる環境は明らかに改善している。振れの大きい生鮮食料・エネルギー関連を除いた物価は、3年前に比べれば1%以上高まり、現在はプラス圏の1%程度を維持しているのだ。

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平野英治

メットライフ生命副会長・元日銀理事

1950年生まれ。73年、一橋大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。33年あまりの勤務で国際局長や国際関係担当理事を歴任した。金融政策、国際金融の専門家で、金融機関の監督にも手腕をふるった。2006年に日銀理事を退任後、トヨタ自動車グループのトヨタファイナンシャルサービス株式会社に転じ、14年6月まで副社長を務めた。同年9月、メットライフ生命保険日本法人の副会長に就任。経済同友会幹事としても活動している。