
4月25日から5月4日まで、北京市郊外で開かれた自動車見本市「北京モーターショー」を取材した。各社が最新技術を競う欧米のモーターショーと異なり、中国国内で開かれるモーターショーは、近く中国市場に投入するニューモデルをお披露目する「商談会」の側面が強かった。米国の1・5倍近い規模に成長した世界最大の自動車市場をいかに取り込むか。メーカーやメディアの関心もそこに集中するのが常だ。だが、今年話題をさらったのは、いつもは脇役の「中国メーカー」だった。
モーターショーを振り返る前に、中国の自動車市場の現状についておさらいしておこう。中国の2015年の新車販売台数は2459万台。このうち「民族系」と呼ばれる地場ブランドのシェアは4割程度で、日本やドイツ、米国などの主要メーカーが市場の半数以上を握る。技術で劣る中国企業はトヨタ自動車など海外の大手メーカーと合弁を組むことで利益を確保してきた。街中に海外ブランドの車があふれる光景は今や中国の「日常」だ…
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赤間清広
毎日新聞経済部記者
1974年、仙台市生まれ。宮城県の地元紙記者を経て2004年に毎日新聞社に入社。気仙沼通信部、仙台支局を経て06年から東京本社経済部。霞が関や日銀、民間企業などを担当し、16年4月から中国総局(北京)。20年秋に帰国後は財務省を担当しながら、面白い経済ニュースを発掘中。