マネー・金融30歳ではじめる資産形成

株価をはかる指標「PERとPBR」って何?

横山邦男 / 前三井住友アセットマネジメント社長

株の知識(4)

 株価が安くなったら買うといっても、何を基準に安い、高いを判断するかという問題があります。

 これがスーパーで販売されている大根なら、特売などで大幅に値引きされていれば、それだけ安いと判断できますが、株式の場合、単純に株価水準が低いからといって買うと、さらに値下がりしてしまうこともあるので注意が必要です。

 例えば、先月まで1000円で取引されていた銘柄が、今月になって半分の500円で取引されるようになったとします。その場合果たして、その銘柄は「割安になった」と言い切れるのでしょうか。

 もちろん「安い!」と思う方もいると思います。でも、株価水準が低いのは、それなりの理由があるからとも考えられます。例えば業績が一向に回復しない、債務が突然大幅に増えてしまっているなど、こうした悪材料を抱えている会社は、株価水準が大幅に低下してしまう場合もあります。ですから、「安いから買い」とは言えないでしょう。

 債務超過に陥った会社というのは、いつ倒産するか分かりません。株式は、それを発行している会社が倒産したら、ただの紙切れになる恐れがあるので、株価水準が低いからといって、安いから買いとは簡単に判断できないのです。

企業の収益と株価を比べる「PER」

 株価が安いか高いかを判断するためには、何かと比較して判断しなければなりません。その代表的なものとして、企業収益や純資産から見て、株価が割安か割高かを判断する方法があります。

 まず企業収益と株価を比較する方法ですが、株価を1株当たり純利益で割って求める数字があります。これをPER(株価収益率)といいます。

 純利益というのは、法人税などを支払った後の、正味の利益です。この純利益を発行済み株式数で割ると、1株当たりの純利益が求められます。そして、株価を1株あたり純利益で割ると、PERが求められ、その数字は何倍というふうに表します。

 仮に、この数字が20倍だと、現在の株価は、今後20年間の利益を織り込んでいると判断されます。したがって、PERが低いほど株は割安ということになりますが、その際の基準として、東証1部上場企業の平均的なPERが何倍なのかを把握しておく必要があるでしょう。2016年5月18日時点で15・89倍です。したがって、この数字よりも低いPERであれば、全体水準と比べても相対的に割安だと判断できます。

純資産と株価を比べる「PBR」

 次に純資産との比較です。純資産というのは、その会社が持っている正味の資産のことで、総資産から負債を差し引いた残りの額になります。これを発行済み株式数で割ったのが「1株当たり純資産」です。

 純資産は、会社を解散したとき、株主に帰属する財産になります。したがって、1株当たり純資産に比べて株価が安ければ、最悪、会社が解散という事態に陥ったとしても、帳簿上は投資した資金を回収してさらに利益が得られることになります(実際に会社がつぶれても、投資した資金を回収できる保証があるわけではありません)。

 株価を「1株当たり純資産」で割って求められる数字をPBR(株価純資産倍率)といいます。PBRが1倍を下回っている場合、一般的にはその株価は純資産から見て割安であると判断されます。逆に、1倍を大きく上回っている会社の株価は、それだけ価値を評価されていると一般的にはいえるでしょう。

 ちなみに東証1部上場企業の平均PBRは、16年5月18日時点で1・15倍程度です。これを下回っている会社の株価なら、相対的に割安と判断できます。さらに割安銘柄に投資したいなら、PBRが1倍を割れているものから探すというのも手です。思わぬバリューのある「掘り出し物」株式が潜んでいるかもしれません。

 将来性が高いにもかかわらず、株式市場では評価されず、株価が割安に放置されたままになっている株式に投資することを、「バリュー投資」と言います。

    ◇    ◇

 三井住友アセットマネジメント社長の横山邦男さんが、若い世代向けに、「資産形成」についてわかりやすく解説します。

 <「30歳ではじめる資産形成」は、毎週月曜日の掲載です>

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横山邦男

横山邦男

前三井住友アセットマネジメント社長

東京大学卒、1981年に住友銀行(現三井住友銀行)入行。日本郵政専務執行役、三井住友銀行常務執行役員を歴任し、2014年4月から三井住友アセットマネジメント社長、16年6月から日本郵便社長。住友銀行とさくら銀行の合併によるメガバンク誕生の際に腕を振るった金融界のビッグネーム。著書に「今こそはじめる資産形成」(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。

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