青春小説の系譜

22歳島田雅彦が描いた“サヨク”と80年代リアル

鶴谷真・毎日新聞学芸部記者
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千里ニュータウン=大阪府吹田市で2012年
千里ニュータウン=大阪府吹田市で2012年

芥川賞候補作「優しいサヨクのための嬉遊曲」

 人の生き方の大まかな分類のひとつに、革新と保守があろう。革新の政治的スタンスは左翼で、格差を批判して人間の平等を求める。保守のそれは右翼で、伝統に重きを置いて従来の秩序を維持しようとする。

 学生運動を経た世代が社会の最前線にいた1980年代に、驚きをもって迎えられたのが島田雅彦さんのデビュー作「優しいサヨクのための嬉遊曲(きゆうきょく)」(83年)である。

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鶴谷真

毎日新聞学芸部記者

1974年、神戸市出身。2002年毎日新聞社に入社し、岡山支局、京都支局を経て08年に大阪本社学芸部。13年秋から東京本社学芸部。文学を担当している。