
ケリー米国務長官は4月と5月の2回、欧州系金融機関にイランとの金融取引を再開するよう異例の要請をした。イランと長年、敵対関係にあった米国が、あたかもイラン“応援団”のような振る舞いを続けるのは奇妙に見える。
ケリー長官は5月12日、ロンドンで開かれたドイツ銀行、BNPパリバなど欧州を代表する金融機関との協議に臨み、イランとの金融取引再開を求めた。長官は4月にも国連の会合に出席するためニューヨークを訪れたイランのザリフ外相と2度も会談、同様の内容の声明を発表するとともに「もし不明な点があるならば、遠慮なく米政府に問い合わせてほしい」とまで付け加えた。
不可解とも見える米国の行動を理解するには、歴史をさかのぼる必要がある。
この記事は有料記事です。
残り1294文字(全文1608文字)
投稿にはログインが必要です。
会川 晴之
毎日新聞北米総局特派員
1959年東京都生まれ、北海道大学法学部卒、87年毎日新聞入社。東京本社経済部、政治部、ウィーン支局、欧州総局長(ロンドン)、北米総局長(ワシントン)などを経て、2018年12月から現職。日米政府が進めたモンゴルへの核廃棄計画の特報で、11年度のボーン・上田記念国際記者賞を受賞。日本発の核拡散を描いた毎日新聞連載の「核回廊を歩く 日本編」で、16年の科学ジャーナリスト賞を受賞。著書に「核に魅入られた国家 知られざる拡散の実態」(毎日新聞出版)。
注目コンテンツ