職場のハラスメントどう防ぐ?

部下への「人格否定発言」が招く重大事態と賠償金

井寄奈美・特定社会保険労務士
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 職場で「いじめ・嫌がらせ」に悩む人が増えています。厚生労働省が発表した2015年度の「個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、職場のいじめ・嫌がらせに関する相談件数が4年連続のトップで、6万6566件でした。

 いじめ・嫌がらせを放置することは、会社にとってもデメリットです。社員の離職を招き、最悪の場合、ハラスメントが原因でメンタル疾患に陥り、自殺してしまうケースもあるからです。

 上司からのパワハラが原因でうつ病を患い、自殺した19歳の新入社員の遺族が、会社と上司を訴えた事件があります(A産業事件、福井地裁14年11月28日判決。その後高裁で和解)。裁判所は、上司のパワハラ行為は不法行為にあたり、会社は使用者責任を負うと判断し、会社と上司が連帯して遺族に7261万2557円を支払うよう命じる判決を出しました。

 この事件では、仕事中の新入社員男性に、直属の上司が人格を否定する言動を繰り返し発していました。亡くなった社員は、上司の次のような言葉を書き残しています。「学ぶ気持ちはあるのか、いつまで新人気分なのか」「人の話を聞かずに行動、動くのがのろい」「うそを平気でつく、そんなやつ会社にいるか」「死んでしまえばいい」「辞めればいい」−−。

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/