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auも長期利用者優遇 「札束で殴り合い」は過去の話?

石野純也 / ケータイジャーナリスト

 いち早く長期利用ユーザーへの還元施策を打ち出していたNTTドコモに対し、auとソフトバンクは、対策が後手に回っていた。ここに大きなメスを入れたのがauだ。KDDIは、「auスター」という会員制プログラムを8月から開始。長期利用者用の還元施策も、盛り込まれている。

契約年数に応じ毎月ポイント

 auスターは「auスターロイヤル」「auスターギフト」「auスターパスポート」の三つからなるプログラム。長期利用者向けの還元はauスターロイヤルに含まれており、契約している年数に応じたポイントを毎月受け取ることができる。

 ポイントは、データ通信の支払いと連動。たとえば、契約年数が7〜9年の場合、データ通信1000円ごとに40ポイントがつく。割合にすると、4%の還元だ。ドコモの「ずっとドコモ割」とは異なり、直接料金から値引くしくみではないが、手続きをすることで携帯電話代への充当は可能になる。

 また、このポイントは、auの利用者向けに発行しているプリペイド型のクレジットカード「auウォレット」にチャージすることができる。auウォレットにチャージさえしておけば、マスターカード加盟店の大半で利用可能。リアルな店舗やネットショッピングで、ためたポイントを使えるというわけだ。

 還元率は、基本的に契約年数が長い方が高くなる。先に挙げた例以外だと、4〜6年の契約で2%、10〜12年の契約で6%、13〜15年の契約で8%、16年以上の契約で10%だ。

 ここからは、データ通信をたくさん使う利用者で、かつauを長く契約している人に手厚くするという考えが見て取れる。データパックの種類と契約年数に応じた割引を用意しているドコモに近いが、割引が金額に対して設定されているため、いくら還元されるのかがより分かりやすくなっているのも特徴だ。

契約年数とデータ通信の利用料に応じたポイントがもらえるauスターロイヤル
契約年数とデータ通信の利用料に応じたポイントがもらえるauスターロイヤル

契約更新時に3000円のギフト券

 auスターギフトも、長期契約者に対する還元方法の一つとなる。まず、2年契約の更新時に、3000円のギフト券がプレゼントされる。このギフト券は、KDDIが運営するショッピングサイトで利用可能だ。

 24時間、980円で海外渡航時にデータ通信を利用できる新サービスの「世界データ定額」も、24時間ぶん無料になる。auの動画配信サイトである「ビデオパス」で、3カ月ごとに、1本の映画が無料になるのも特典だ。このほか、抽選でCMキャラクターを使ったグッズもプレゼントされる。

 最後のauスターパスポートは、auショップでの体験を改善するプログラム。長期利用者に限らず、auスターに登録していれば、誰もが対象になる。来店前に日付や時間を予約したり、あらかじめ大まかな要件を伝えておけるサービスで、混雑時でもスムーズにサービスが受けられるようにするのが目的だ。

2年契約更新時にもらえるギフト券なども用意する
2年契約更新時にもらえるギフト券なども用意する

 ドコモに続き、auも長期利用者優遇策を発表し、ソフトバンクも概要だけだが、ヤフーで利用できるTポイントを長期利用者向けに発行する方針を示している。

 総務省の要請に従ったのが背景だが、番号ポータビリティーでの顧客の奪い合いが沈静化していることも大きい。

 端末の実質0円や、番号ポータビリティー利用時の過度なキャッシュバックが事実上禁止され、利用者の流動性が、低下しているのだ。以前のように、札束で殴り合う激しい戦いがなくなり、大手通信事業者の競争軸が変わり始めているとも言えるだろう。

 <「知ってトクするモバイルライフ」は、毎週火曜日に掲載します>

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石野純也

石野純也

ケータイジャーナリスト

1978年、静岡県生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。2001年、宝島社に入社。当時急速に利用者数を伸ばしていた携帯電話関連のムック編集に携わる。05年には独立してフリーランスのジャーナリスト/ライターに転身。通信事業者、携帯電話メーカー、コンテンツプロバイダーなどを取材、幅広い媒体に原稿を執筆する。業界動向を記したビジネス書から、端末の解説書まで著書も多い。

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