
読んでいて、あるいは聞いていて「なんだかまどろっこしいな」と、感じる表現があります。その理由はいくつかありますが、そのひとつとして「事実」と「気持ちや評価」が入り交じっている、ということがあります。
高齢者福祉ビジネスに関係のある人が、先進的な有料老人ホームを視察してその報告をまとめた文章を見てみましょう。そのなかで建物については以下のように触れられています。
「建物は3階建てで、エントランスが吹き抜けになっています。周りはガラス張りで、日中はいつでも光が差し込み、開放感のあるつくりになっています。居心地のいい空間です。高齢者のホームという感じがまったくなく、これなら将来入ってもいいと思う人が多いのではないでしょうか。
この記事は有料記事です。
残り1251文字(全文1565文字)
投稿にはログインが必要です。
川井龍介
ジャーナリスト
1980年慶応大学法学部卒。新聞記者などを経てフリーのジャーナリスト、ノンフィクションライター。実用的な文章技術を説いた「伝えるための教科書」(岩波ジュニア新書)をはじめ「大和コロニー~フロリダに『日本』を残した男たち」(旬報社)、「フリーランスで生きるということ」(ちくまプリマ―新書)を2015年に出版。このほか「ノーノー・ボーイ」(ジョン・オカダ著、旬報社)の翻訳をてがける。