
LCC(Low Cost Carrier)とは、格安航空会社のことだ。日本でも揺籃(ようらん)期を経て、今では市民の足として定着した感がある。コスト削減のため、社員の出張にLCC利用を義務づける会社もあると聞く。
LCCの同義語に、NFC(No Frills Carrier)がある。フリルがない、飾りがない、という意味だ。サービスをぎりぎりまでそぎ落とし、ユーザーが必要なサービスをオプションとして追加する。だから安い。
これに対して、従来の航空会社はレガシーキャリアー、あるいはFSC(Full Service Carrier)と呼ばれている。LCCとの競争を通じて、レガシーキャリアーでは、一層のサービス充実とその原資を生み出すためのコスト削減、業務効率化が進んだ。LCCが誕生したことで結果的に、航空業界全体の筋肉質化が進んだ。これが航空行政の本来の目的だったのだ。
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北俊一
野村総合研究所上席コンサルタント
1965年、横浜市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。90年株式会社野村総合研究所入社。四半世紀にわたり、情報通信関連領域における調査・コンサルティング業務に従事。専門は、競争戦略、事業戦略、マーケティング戦略立案及び情報通信政策策定支援。総務省情報通信審議会専門委員。