丹羽宇一郎の「商売道」

不良債権3950億円を一気に処理した伊藤忠の決断

丹羽宇一郎・元伊藤忠商事社長
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 経営の危機に際して、役員や社員が、何の傷も負わないで、苦境を乗り切るなんて無理なことです。誰かが血を流さなければ、改善はできても改革はできません。

 最近も台湾企業による日本企業の買収がありました。外国企業に買収してもらい、誰も血を流さないで、みんなニコニコして今まで通りにやれると思ったら、大間違いです。数千億も払って買収した側の企業はそんなに甘くない。彼らは日本の企業よりも、よほどお金にシビアですし、どこかで必ず、刀を持って、お前、血を流せって迫ってくるでしょう。

 経営危機になっても誰も責任をとらない。社長や役員は誰も辞めない、社員もそのままでうまくいくはずがあ…

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丹羽宇一郎

元伊藤忠商事社長

1939年生まれ。名古屋大学卒業後、伊藤忠商事に入社。社長、会長を歴任。社長時代の2000年3月期決算で3950億円の不良資産一括処理を決断し、翌年の決算で同社史上最高益をあげる。10年から約2年半、民間出身で初の中国大使を務める。著書に「人類と地球の大問題」「人を育てよ」「危機を突破する力」などがある。