職場のハラスメントどう防ぐ?

育休を望んだ部下に厳しくあたった女性上司の本音

井寄奈美・特定社会保険労務士
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 新卒採用の説明会で女子学生から必ず出る質問の一つに、育児休業の取得実績があります。出産・育児を経て復帰する女性社員が多いことが、働きやすい職場であるかどうかを判断する基準の一つになっているのでしょう。

 しかし、出産・育児を経験した女性が上司の場合、マタハラが起こりやすくなることもあります。ある地方都市の総合医院(A医院)の事例を紹介します。

 A医院には、出産後に職場復帰し、育児をしながら働く看護師が多くいます。40代後半の看護師長もその一人です。彼女が出産する少し前の1992年、育児休業法が施行されました。

 法律ができたとはいえ、当時は出産後8週間の産休を取るのが精いっぱいで、育休取得は難しい状況でした。育児をしている職場の先輩から「1月に産むと、その年4月からの保育所入所の申し込みにギリギリ間に合う。産休後の数週間を乗り切ればなんとかなる」と言われ、出産のタイミングをコントロールしていたような時代でした。

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井寄奈美

特定社会保険労務士

大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/