丹羽宇一郎の「商売道」

報酬ゼロで電車通勤していた伊藤忠社長時代

丹羽宇一郎・元伊藤忠商事社長
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 丹羽宇一郎さんは、伊藤忠商事社長時代の2000年3月期決算で3950億円の特損処理を行いました。その決断の当時を振り返ります。

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 腐った不採算の事業はできるだけ早く清算すべきです。不採算事業から撤退するにあたり、従業員に責任を押し付けて、責めるのではありません。一生懸命やっていても損するときはあります。全社員の幸せのために赤字部門を整理・改革するということをリーダーである社長が決断しなければなりません。

 当時、伊藤忠商事は、1000社程度の子会社があり、そのうち6割が赤字であり、4割の黒字を全てのみ込み、数百億円の赤字を出していました。無理やり利益を出せといって社員を粉飾決算に走らせてはなりません。最後は「社員の幸せのため、また世のため人のため国のためになる仕事をするには、皆が自信を持ってやれるようにしなければ……」と思い、特損処理を実施することとなったのです。

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丹羽宇一郎

元伊藤忠商事社長

1939年生まれ。名古屋大学卒業後、伊藤忠商事に入社。社長、会長を歴任。社長時代の2000年3月期決算で3950億円の不良資産一括処理を決断し、翌年の決算で同社史上最高益をあげる。10年から約2年半、民間出身で初の中国大使を務める。著書に「人類と地球の大問題」「人を育てよ」「危機を突破する力」などがある。