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ブレグジットで「金融センター・ロンドン」消滅?

平野英治・メットライフ生命副会長・元日銀理事
ロンドンの金融街シティー中心部のロンバード通り=2013年7月、坂井隆之撮影
ロンドンの金融街シティー中心部のロンバード通り=2013年7月、坂井隆之撮影

 英国の欧州連合(EU)離脱、いわゆる「ブレグジット」の影響で、国際金融センターとしてのロンドンの役割はどう変化するだろうか。

 現在、ロンドンは世界為替取引のおよそ40%を取り扱っている。また、世界の保険市場の中心地であり、ブローカー、弁護士、ヘッジファンド、商品取引業者、会計士らの金融ビジネスの集積地だ。

 国際金融センターというロンドンの立場が確立した背景には、歴史的および地理的事情が関係している。英国は18世紀から、経済大国であり、金融大国だった。トレーダーがシンガポールや東京、ニューヨークの同僚らと、同じ日に取引ができるタイムゾーンに位置していることもロンドンにとっては幸運だった。

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メットライフ生命副会長・元日銀理事

1950年生まれ。73年、一橋大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。33年あまりの勤務で国際局長や国際関係担当理事を歴任した。金融政策、国際金融の専門家で、金融機関の監督にも手腕をふるった。2006年に日銀理事を退任後、トヨタ自動車グループのトヨタファイナンシャルサービス株式会社に転じ、14年6月まで副社長を務めた。同年9月、メットライフ生命保険日本法人の副会長に就任。経済同友会幹事としても活動している。