丹羽宇一郎の「商売道」

「トヨタ依存」「駅前集中」名古屋が抱える二つの格差

丹羽宇一郎・元伊藤忠商事社長
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 名古屋は、私のホームタウンです。名古屋市で本屋の息子として生まれて、大学卒業までを名古屋で過ごしました。私の就職活動の条件は、「名古屋以外で働けるのであれば、どこの部署でも良い」というものです。

 私は、「しがらみを断ち切り、自由に自分のやりたいことをしたい」と思い、名古屋以外での就職を希望しました。伊藤忠商事に入社した後、東京、ニューヨークなどで働きましたが、甘えが起きてはいけないと思い名古屋では一度も働く機会はありませんでした。

 最近、名古屋は本当に大丈夫かと心配しています。名古屋では、「名古屋駅前とそれ以外」「トヨタ自動車関連とそれ以外」という二つの格差が生まれようとしています。名古屋駅前にどんどん会社も人も集まり、駅前は大混雑です。東京駅よりも混んでいるのではと思うくらいです。今度、駅前に名鉄を中心とした再開発ビルの計画もあるようで、さらなる駅前集中が進みそうです。

 一方で名古屋経済は、トヨタ自動車以外に何があるのでしょうか。名古屋は「もの作り」の集積地と言われますが、最近では、中国やタイなどへの製造拠点の移転もあり、かつての工場はマンションなどに建て替わっています。

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丹羽宇一郎

元伊藤忠商事社長

1939年生まれ。名古屋大学卒業後、伊藤忠商事に入社。社長、会長を歴任。社長時代の2000年3月期決算で3950億円の不良資産一括処理を決断し、翌年の決算で同社史上最高益をあげる。10年から約2年半、民間出身で初の中国大使を務める。著書に「人類と地球の大問題」「人を育てよ」「危機を突破する力」などがある。