政治・経済丹羽宇一郎の「商売道」

丸紅社長との信頼関係で実現した鉄鋼部門の統合

丹羽宇一郎 / 元伊藤忠商事社長

 私が伊藤忠商事の経営を任されていた2001年10月に伊藤忠商事と丸紅の鉄鋼製品分野を統合し、「伊藤忠丸紅鉄鋼」を設立しました。

 当時、両社の鉄鋼製品分野は、毎年数億円単位で赤字を出すお荷物事業でした。アフリカや中東など多くの海外拠点も重なることから、統合すればコスト削減効果があると考えていました。

財閥解体で分割された丸紅と伊藤忠商事

 伊藤忠商事と丸紅は同じ伊藤忠兵衛を起源とする総合商社です。戦前一緒の会社だった時期もありましたが、第二次大戦後に財閥解体により2社に分割されました。両社ともライバル心が強く「水と油」の関係と揶揄(やゆ)されることもありました。そのようなライバル関係にある両社が合弁会社を設立できるのか、交渉は難航することが予想されました。

 しかし、当時、私と丸紅の辻亨社長とが普段から仲良くしており、信頼関係がありました。トップ同士の友好…

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丹羽宇一郎

丹羽宇一郎

元伊藤忠商事社長

1939年生まれ。名古屋大学卒業後、伊藤忠商事に入社。社長、会長を歴任。社長時代の2000年3月期決算で3950億円の不良資産一括処理を決断し、翌年の決算で同社史上最高益をあげる。10年から約2年半、民間出身で初の中国大使を務める。著書に「人類と地球の大問題」「人を育てよ」「危機を突破する力」などがある。