青春小説の系譜

山田詠美「ぼくは勉強ができない」は大人の教科書だ

鶴谷真
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2001年度の教科書検定で意見が付き、差し替えられた山田詠美さんの作品「ぼくは勉強ができない」が載った申請本(右)と検定決定後の教科書
2001年度の教科書検定で意見が付き、差し替えられた山田詠美さんの作品「ぼくは勉強ができない」が載った申請本(右)と検定決定後の教科書

 「自分探し」とあまり言われなくなった。今では、否定的ニュアンスがこもる言葉だろう。あるべき自分を夢想するばかりで、現実から逃避しているだけだ、理屈をこねる前に黙って勉強しろ、真面目に働け。それは一面で真理だとは思うが、私たちには心がある。生きる意味を真っ正面から考えることを抜きにして、苦しい現実には立ち向かえない。

 現代文学の先頭を走る作家の一人、山田詠美さんが書いた「ぼくは勉強ができない」は、1993年に刊行された短編集である。

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鶴谷真

1974年、神戸市出身。2002年毎日新聞社に入社し、京都支局や東京本社学芸部などを経て22年から大阪本社地方部。