
すったもんだの末、7月29日の金融政策決定会合において日銀は、上場投資信託(ETF)の買い入れ額の増額を決めた。一方、それ以外の資産買い入れ方針および政策金利は、不変とした。市場には、マイナス金利の拡大を含む大胆な追加緩和策を期待する声も根強くあったことから、株式市場や為替市場は一時大きく動揺したが、とりあえずは小康を取り戻しつつある。金融政策に関する市場の関心は、今や9月下旬に開催される次回の決定会合に移っているようだ。
日銀は今回の決定と同時に公表した「展望リポート」において、物価見通しの下振れに触れた。にもかかわらず、マイナス金利の拡大を避けたところに、日銀の迷いが見て取れる。筆者はかつて、マイナス金利の導入に過剰反応する論調に疑問を投げかけたことがあった。しかし、マイナス金利の導入をきっかけとして、少しでも金利の高い長期債に対する購入意欲が高まり、その結果20年債や30年債の金利が急激に低下したことは、正直…
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