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日銀の金融政策は明らかに限界に来ている

平野英治・メットライフ生命副会長・元日銀理事
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金融政策決定会合の後、定例記者会見に臨む日銀の黒田東彦総裁=2016年7月29日、北山夏帆撮影
金融政策決定会合の後、定例記者会見に臨む日銀の黒田東彦総裁=2016年7月29日、北山夏帆撮影

 すったもんだの末、7月29日の金融政策決定会合において日銀は、上場投資信託(ETF)の買い入れ額の増額を決めた。一方、それ以外の資産買い入れ方針および政策金利は、不変とした。市場には、マイナス金利の拡大を含む大胆な追加緩和策を期待する声も根強くあったことから、株式市場や為替市場は一時大きく動揺したが、とりあえずは小康を取り戻しつつある。金融政策に関する市場の関心は、今や9月下旬に開催される次回の決定会合に移っているようだ。

 日銀は今回の決定と同時に公表した「展望リポート」において、物価見通しの下振れに触れた。にもかかわら…

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平野英治

メットライフ生命副会長・元日銀理事

1950年生まれ。73年、一橋大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。33年あまりの勤務で国際局長や国際関係担当理事を歴任した。金融政策、国際金融の専門家で、金融機関の監督にも手腕をふるった。2006年に日銀理事を退任後、トヨタ自動車グループのトヨタファイナンシャルサービス株式会社に転じ、14年6月まで副社長を務めた。同年9月、メットライフ生命保険日本法人の副会長に就任。経済同友会幹事としても活動している。