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「貸倉庫に遺骨放置」に見る葬祭ビジネスの変化

中村智彦・神戸国際大学教授

変化する葬祭ビジネス(1)

 お盆休みに帰省して、先祖の墓参りをした人も多いだろう。ただ近年、そうした風習も徐々に薄れつつあるとも言われる。それは単純に「日本人の情が薄れてきた」と嘆くだけの問題ではないようだ。葬祭ビジネスと関連産業の動向から見える人口減少と市場の変化を探った。

トランクルームに置き去りにされる遺骨

 この10年ほどの間に、フランチャイズチェーンも含めて貸倉庫店が首都圏だけではなく、全国の都市部で急増している。

 最近の貸倉庫店は、利用者が自宅に収納しきれない荷物などの保管場所とする「トランクルーム」と呼ばれる1〜2畳程度の省スペースのものが中心で、個人客が多い。業界大手の株式会社キュラーズが2015年に発表した資料によると、14年のトランクルームの市場規模は523億円。この6年間で1.8倍(08年比)も成長した。市場全体は毎年約10%の成長を続けている。

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神戸国際大学教授

1964年、東京都生まれ。88年、上智大学文学部卒業。96年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了。外資系航空会社、シンクタンクで勤務。大阪府立産業開発研究所、日本福祉大学経済学部助教授を経て、現職。専門は中小企業論と地域経済論。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興のプロジェクトに数多く参画し、TBS系「坂上&指原のつぶれない店」にも出演。