くらし下流化ニッポンの処方箋

25歳調理師の“過重労働うつ”は労災か

藤田孝典 / NPO法人ほっとプラス代表理事

労災と補償(1)

 仕事以外の理由で病気になったりけがをしたりした時に使えるのが「傷病手当金制度」。健康保険でカバーされます。これに対し、仕事中や通勤途中の病気、けがに対応するのが「労災保険」。正式名称は「労働者災害補償保険」です。その仕組みと使い方を紹介します。

3店掛け持ち、店で寝泊まりの過酷な労働

 埼玉県内の調理師の男性(25)のケースです。高校を卒業してJR大宮駅近くの小さな飲食店チェーンに就職し、働いていました。ところが2014年の暮れのある朝、突然起きられなくなり、無断欠勤してしまいました。長時間労働やストレスによる心身の疲れが原因でした。

 チェーンには和食、中華、居酒屋の3店舗があり、シフトに従って3店を行ったり来たりしていました。早朝…

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藤田孝典

藤田孝典

NPO法人ほっとプラス代表理事

1982年生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事、聖学院大学人間福祉学部客員准教授、反貧困ネットワーク埼玉代表。厚生労働省社会保障審議会特別部会委員。ソーシャルワーカーとして現場で生活困窮者支援をしながら、生活保護や貧困問題への対策を積極的に提言している。著書に「貧困クライシス 国民総『最底辺』社会」(毎日新聞出版)「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」「ひとりも殺させない」「貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち」など。