社会・カルチャー切ない歌を探して

「避暑地の出来事」で描かれたある夏の日の恋

森村潘 / ジャーナリスト

 夏の終わりは寂しい、なんて言葉は陳腐だが、海沿いを歩いていて、トンボがたくさん夕暮れ空を飛び交うのをみると、たしかにそんな気持ちになる。夏の終わりには、この夏のことだけでなく、これまでに過ごしてきた夏のことなどをふと思い出すからかもしれない。

 そのきっかけになるような曲がある。ちょっとさびれた商店街を歩いているとき、昔ながらの喫茶店に入ったとき、この時期ときどき耳にする。邦題は「夏の日の恋」。パーシー・フェイス・オーケストラによる優雅な曲だ。

 カナダで生まれアメリカで活躍した音楽家、パーシー・フェイスが指揮するオーケストラの代表曲。ストリン…

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森村潘

森村潘

ジャーナリスト

大手新聞、雑誌編集などを経てコミュニティー紙の編集などに携わる。ジャンルを超えて音楽を研究、アメリカ文化にも詳しい。