経済プレミア・トピックス

葬祭関連業者が期待した「団塊世代」の幻想

中村智彦・神戸国際大学教授
  • 文字
  • 印刷

 お盆に墓参りをする風習が廃れるのは、人口減少とそれに伴う社会の変化が背景にある。そして、その影響は、大きな伸びが期待されていた葬祭関連業界の予想に反する動きに表れていた。前回「「貸倉庫に遺骨放置」に見る葬祭ビジネスの変化」に引き続き、葬祭関連業界の状況を見ながら、今後の消費動向を考えるためのヒントを探った。

 「地方では高齢者の死亡者数はすでにピークを過ぎ、20年前と比較すると葬儀件数も減少しています。親族の数も少なくて会葬者もわずか。そのため、地方の寺院運営は人口減少に伴う檀家の減少も相まって非常に困難になっています」

 北陸地方のある住職はそう話す。敷地内で作物を栽培して食物は自給自足し、イベントの開催などで観光客の誘致にも工夫を凝らしている。可能な限り、地元の人たちの心のよりどころとして寺院を継続していくことを目指しているという。だが、寺院自体が観光名所となり、収入も期待できるケースはごくわずかだ。実際に、無住職の寺院も増加している。1人で複数の寺院の管理を掛け持ちするケースも多い。

この記事は有料記事です。

残り1575文字(全文2025文字)

中村智彦

神戸国際大学教授

1964年、東京都生まれ。88年、上智大学文学部卒業。96年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了。外資系航空会社、シンクタンクで勤務。大阪府立産業開発研究所、日本福祉大学経済学部助教授を経て、現職。専門は中小企業論と地域経済論。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興のプロジェクトに数多く参画し、TBS系「坂上&指原のつぶれない店」にも出演。