丹羽宇一郎の「商売道」

商社を目指す学生に言う「うそをつくな、平和を愛せ」

丹羽宇一郎・元伊藤忠商事社長
  • 文字
  • 印刷

 現代でも日本の社会、特に経済界では「商人」を見下すような人が多くいます。経済団体などにしても商人が会長や副会長などになることはまれです。かつて「鉄は国家なり」などと言われましたが、製造業こそが国の根幹であるという意識が、日本の経済界では今も根強くあります。

 私が伊藤忠商事に入社した頃は、まだ商社の地位は高くなく、「モノ作りこそが、国益」という社会的な認識からか、商売というものが卑下されているように感じていました。

 どの分野の仕事に従事されている人も、自分たちの仕事にそれぞれ自負心を持つようになるのは当然です。私も、商社に入社して、商人として、仕事をしていくなかで、製造業以上に、商売道を通した商人の営みこそが重要なのだと考えるようになりました。

この記事は有料記事です。

残り1719文字(全文2045文字)

丹羽宇一郎

元伊藤忠商事社長

1939年生まれ。名古屋大学卒業後、伊藤忠商事に入社。社長、会長を歴任。社長時代の2000年3月期決算で3950億円の不良資産一括処理を決断し、翌年の決算で同社史上最高益をあげる。10年から約2年半、民間出身で初の中国大使を務める。著書に「人類と地球の大問題」「人を育てよ」「危機を突破する力」などがある。