切ない歌を探して

日本人の心に染みる「赤とんぼ」の郷愁と叙情

森村潘・ジャーナリスト
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 蒸し暑い日は続くが、朝夕の風はたしかに秋めいてきた。街によって、毎夕決まった時間に、鐘の音やなじみの音楽を流すところがある。

 童謡「赤とんぼ」を作曲した山田耕筰が、昭和初期に暮らしていた神奈川県茅ケ崎市では、この赤とんぼのメロディーが流れる。ああ、今日も暮れていくのかと、一日が終わりに向かうころにふさわしい、安堵(あんど)の気持ちをさそうやさしいメロディーだ。

 夕焼小焼の 赤とんぼ 負われて見たのは いつの日か 山の畑の 桑の実を 小かごに摘んだは まぼろしか

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森村潘

ジャーナリスト

大手新聞、雑誌編集などを経てコミュニティー紙の編集などに携わる。ジャンルを超えて音楽を研究、アメリカ文化にも詳しい。