世界の乳幼児教育、行ってみたらこうだった!

敗戦国イタリアの母たちが目指した本当の幼児教育

轟麻衣子・株式会社ポピンズ取締役
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レッジョエミリア研修の様子=ポピンズ提供
レッジョエミリア研修の様子=ポピンズ提供

 近年、新たな保育・教育法として世界中から注目を集めているレッジョエミリア・アプローチには、実は70年ほどの歴史があります。イタリアの地方都市で行われているこのアプローチが、欧米など各地に本格的に広まり始めたのは2000年以降のことでした。

 今回の私たちの研修は、レッジョエミリア市の保育・教育の研修施設「ローリス・マラグッツィセンター」での講義と視察、市内で最初に開設された幼児学校の視察に大きく分けられます。まずは、研修施設での講義と視察の模様をお伝えします。

 レッジョエミリア・アプローチで特徴的なのは、英国編(4)でも紹介したように、自治体や地域全体で子供の教育に取り組んでいることです。家庭や学校、保育園といった小さなコミュニティー内だけで子供を育てるのではなく、さまざまな大人と関わる機会を持つ。大人は子供と対等に接して成長を促そうとする姿勢が大切です。

 「子供が100人いれば100通りの考えや表現がある」が考え方のベースであることは、前回紹介しました。子供それぞれの考えや表現は、アート(芸術)を通じて行われます。アートといっても、うまく絵を描いたり、上手な言語表現をしたり、精巧な作品を作ったりすることだけが目的ではありません。学んだことを道具や体全体で表現する過程で、自然や科学、社会や人間関係の知識や経験を深めていきます。

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轟麻衣子

株式会社ポピンズ取締役

東京都生まれ。12歳で英国の名門寄宿舎学校に入学。1998年、ロンドン大学を卒業後、メリルリンチ(ロンドン)に入社。シャネル(パリ本社、日本支社)などを経て、INSEAD(フランスを拠点とするビジネススクール・経営大学院)でMBAを取得。その後、デビアス(ロンドン)で勤務後、2010年、ポピンズ顧問、12年から現職。2児の母親。