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日本を激しく巻き込む「サイバー戦争の恐怖」

平野英治・メットライフ生命副会長・元日銀理事
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 米民主党全国委員会のシステムが何者かにハッキングされ、党全国委員長ら幹部間のメールのやり取りが党大会直前に流出する事態となった。7月のことだ。ヒラリー・クリントン氏はじめ民主党側は、米大統領選に影響を与える目的でロシア政府がこれに関与したという見方を示している。

 事件の真相は不明だが、確かなことは、非常に高度な技術と豊富な資金のある組織体が、現実世界に影響を及ぼす強い意思をもって攻撃を実行し、その目的がやすやすと達成されたということだ。

 このサイバー問題についても、改めて地政学の文脈で理解することが必要ではないかと思う。仮に今回の事件にロシア政府が関係しているのだとすれば、国家間の「サイバー戦争」が新たな局面に入ったことを示唆するものといえる。

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平野英治

メットライフ生命副会長・元日銀理事

1950年生まれ。73年、一橋大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。33年あまりの勤務で国際局長や国際関係担当理事を歴任した。金融政策、国際金融の専門家で、金融機関の監督にも手腕をふるった。2006年に日銀理事を退任後、トヨタ自動車グループのトヨタファイナンシャルサービス株式会社に転じ、14年6月まで副社長を務めた。同年9月、メットライフ生命保険日本法人の副会長に就任。経済同友会幹事としても活動している。