
米有力銀行、ウェルズ・ファーゴで、行員による大がかりな不正事件が発覚して米国で大きな問題になっている。同行のリテール(個人)部門で働く多数の行員が、顧客の同意を得ずに顧客情報を用いて預金口座を開設していたというものだ。
ウェルズ・ファーゴは米国銀行業界で優等生として知られている。成長地域への出店戦略、さらにはIT関連企業の買収などに秀でた実績を上げ、収益性の高い企業体質を築き上げてきたからだ。
顧客の属性や過去の購買傾向をデータベースで区分し、顧客に合ったサービスを提供する「データベースマーケティング」と呼ばれる先進的な営業手法を活用し実績を上げてきた。ところが、この「データベースマーケティング」が不正事件の温床にもなっていたというのだ。
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浪川攻
金融ジャーナリスト
1955年、東京都生まれ。上智大学卒業後、電機メーカーを経て、金融専門誌、証券業界紙、月刊誌で記者として活躍。東洋経済新報社の契約記者を経て、2016年4月、フリーに。「金融自壊」(東洋経済新報社)など著書多数。