
広告代理店大手・電通の新入社員女性の自殺がニュースで大きく取り上げられ、長時間労働への批判と危機感が強まっています。
東京都港区の三田労働基準監督署は9月30日付で、女性の死亡を労災認定しました。実は、自殺は自己の意思で命を絶つ行為で、本来は労災給付の対象になりません。労働者災害補償保険法には「労働者が、故意に負傷、疾病、障害もしくは死亡またはその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は保険給付を行わない」と規定しています。
自殺が労災認定されるのは、過重な労働などが原因で→精神疾患を発症し→自殺に至った──という因果関係が認められた場合です。電通のケースは、女性新入社員のうつ病発症直前の労働時間を105時間とみなし、うつ病発症と業務との因果関係が認められました。
この記事は有料記事です。
残り1957文字(全文2298文字)
投稿にはログインが必要です。
特定社会保険労務士
大阪市出身。2015年、関西大学大学院法学研究科博士前期課程修了。現在、大阪大学大学院法学研究科博士後期課程在籍中(専攻:労働法)。01年、社会保険労務士資格を取得。会計事務所勤務などを経て06年4月独立開業。井寄事務所(大阪市中央区)代表。著書に『トラブルにならない 小さな会社の女性社員を雇うルール』(日本実業出版社)など。http://www.sr-iyori.com/
注目コンテンツ