
各携帯電話事業者から、2016年度上期の決算が発表されている。ソフトバンクは未発表だが、NTTドコモ、KDDIは増収増益の好決算だった。企業努力だけによる増益であれば大歓迎だが、手放しで喜べるものではない。
総務省の端末購入補助に関するガイドラインは、確実に各社決算に影響している。端末補助金の縮減に伴って実質販売価格は上昇し、スマホ高性能化に伴う端末買い替えサイクルの長期化は、端末販売台数を減少させている。その結果、代理店への支払い手数料を含む販売コストが減少し、利益が増えた。
もちろん、生み出された利益は、法人税や株主還元に用いられるだろうが、一般消費者は「キャリアー焼け太り」「もうけすぎ」と見ても仕方がないだろう。
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北俊一
野村総合研究所上席コンサルタント
1965年、横浜市生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。90年株式会社野村総合研究所入社。四半世紀にわたり、情報通信関連領域における調査・コンサルティング業務に従事。専門は、競争戦略、事業戦略、マーケティング戦略立案及び情報通信政策策定支援。総務省情報通信審議会専門委員。