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「意見の分布」を知る手がかり 新聞社の世論調査

山田道子・元サンデー毎日編集長

 毎日新聞の10月26日朝刊に、毎日新聞が実施した第70回読書世論調査の結果が載った。過去の調査でよく読まれたり、戦後ベストセラーになったりした21の文芸作品を挙げ、読んだことがあるかを尋ねたところ、最も多かったのは夏目漱石の「坊っちゃん」(61%)だったという内容だ。

 毎日新聞の読書世論調査は、戦後間もない1947(昭和22)年に始まり、年に1回行われている。日本人の読書傾向を全国規模で調べ続けている唯一の調査だ。例えば、書籍を読む人の割合を示す「書籍読書率」の変遷はこの調査でしか分からない。

 読書世論調査は郵送で質問用紙を送り、回答を返送してもらう。調査対象は、住民基本台帳から「層別2段階抽出法」と呼ばれる無作為抽出法で男女計3600人を選ぶ。準備から記事掲載まで半年以上かかる。

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元サンデー毎日編集長

1961年東京都生まれ。85年毎日新聞社入社。社会部、政治部、川崎支局長などを経て、2008年に総合週刊誌では日本で最も歴史のあるサンデー毎日の編集長に就任。総合週刊誌では初の女性編集長を3年半務めた。その後、夕刊編集部長、世論調査室長、紙面審査委員。19年9月退社。