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平均年収290万円シンママの終わりなき重労働

藤田孝典・NPO法人ほっとプラス理事

 非正規雇用で結婚しないまま老親と同居、もしくは1人暮らし--という人が増えていますが、もう一つ、「女性の貧困」も静かに深く進行しています。とりわけ、配偶者と死別や離婚をした、子供を持つシングルマザーの貧困は、本人だけでなく子供にも深刻な影響を与えます。

ひとり親世帯の年間収入は平均の半分約290万円

 少し古い数字ですが、厚生労働省が2011年に実施した「全国母子世帯調査」(12年公表)によると、ひとり親世帯(母子家庭、父子家庭)の世帯員全員の収入は約291万円。一般世帯のおよそ半分にとどまっています。

 母子世帯の母親の80.6%が仕事に就いていますが、パート・アルバイトなどの非正規雇用が47.4%と最も多く、正規職員・従業員は39.4%にとどまります。一方、父親の場合は正規職員・従業員は67.2%でした。女性の就業形態が男性より厳しい状況であることが分かります。

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NPO法人ほっとプラス理事

1982年生まれ。NPO法人ほっとプラス理事。ソーシャルワーカーとして現場で生活困窮者支援をしながら、生活保護や貧困問題への対策を積極的に提言している。著書に「貧困クライシス 国民総『最底辺』社会」(毎日新聞出版)「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」「ひとりも殺させない」「貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち」など。