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活躍アピール「自称イクメン」に女性がいらつく理由

藤田結子・明治大商学部教授

 2016年は、「イクメン」をめぐるさまざまな議論がありました。宮崎謙介元衆議院議員が1カ月の育児休業を取得する意向を示し、「イクメン議員」として話題になったものの、妻が入院中に他の女性と不倫をし、批判を浴びて2月に議員を辞職しました。

 最近では、4人の子供を育てているモデルの中林美和さんが、育児に熱心として知られるミュージシャンの夫に対してツイッターで、「家事育児は100%私。プラス仕事。たまに夫に子供のこと頼むと、体温計がないことでイライラされる」「外面だけが良くて吐き気がする」などと心情を吐露し、母親たちの共感を呼びました。

 さらに、女性向けメディアには、「自称イクメン」「偽イクメン」「なんちゃってイクメン」「イクメンもどき」などの言葉も現れ、女性からの「イクメン」批判が多く見られるようになりました。なぜ「イクメン」という言葉が女性たちをいらだたせるのでしょうか。

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明治大商学部教授

東京都生まれ。慶応義塾大を卒業後、大学院留学のためアメリカとイギリスに約10年間滞在。06年に英ロンドン大学で博士号を取得。11年から明治大学商学部准教授、16年10月から現職。専門は社会学。参与観察やインタビューを行う「エスノグラフィー」という手法で、日本や海外の文化、メディア、若者、消費、ジェンダー分野のフィールド調査をしている。