下流化ニッポンの処方箋

「40代下流」をこれ以上増やしてはいけない理由

藤田孝典・NPO法人ほっとプラス代表理事
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 埼玉県内の大手スーパーでレジ打ちの仕事をしている陽子さん(43歳・仮名)は、低い賃金ながら一生懸命働いています。ここ数年、県の最低賃金が10円ちょっとずつ引き上げられたことで時給が上がり、「すごく助かっている」と言います。

 日本には、アパートの家賃を払い、税金を納め、日々の小さな喜びを支えにつつましく生きる陽子さんのような人が数百万人いて、暮らし向きが良くなることを望んでいます。彼ら彼女たちは自分を貧しいとは思っていません。将来への不安があっても、それが誇りです。

 その誇りと暮らしは、ひとたび病気やアクシデントに見舞われると、すぐ崩壊しかねません。そして、年を重ねるごとに崩壊リスクは高まります。なぜなら、かつて機能していた「結婚」というセーフティーネットが機能しなくなり、収入がなくなって頼れる網は、生活保護しかなくなったからです。

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藤田孝典

NPO法人ほっとプラス代表理事

1982年生まれ。NPO法人ほっとプラス代表理事、聖学院大学人間福祉学部客員准教授、反貧困ネットワーク埼玉代表。厚生労働省社会保障審議会特別部会委員。ソーシャルワーカーとして現場で生活困窮者支援をしながら、生活保護や貧困問題への対策を積極的に提言している。著書に「貧困クライシス 国民総『最底辺』社会」(毎日新聞出版)「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」「ひとりも殺させない」「貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち」など。