高齢化時代の相続税対策

3姉妹が受け継ぎ守った父の財産と老いた母の祈り

広田龍介・税理士
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 東京都内のT子さん(96)はおよそ70年前、先妻を亡くしたばかりの男性の元に後添いとして嫁いだ。男性と先妻の間には2人の幼い娘がいて、T子さんは結婚後すぐに2人と養子縁組し、幼かった姉妹を実の子同様に育てた。

 幼かった娘も成長し、いまや長女N子さんは82歳、次女K子さんは80歳になった。そしてT子さんがその後もうけた実子の三女Y子さんも70歳。高齢3姉妹が、母親の生前対策に取り組んだのだ。

 T子さんは20年前に夫を亡くし、東京都港区の自宅と土地を相続した。12年前に体調を崩し、自宅を出て高齢者ホームに入居することになった。その際自宅を取り壊し、新しく設立した法人名義でアパート3棟を敷地に建築した。

 法人を作ってアパートを建てたのには、所得税対策や相続税対策以外の目的があった。長女N子さんと次女K子さんと、三女Y子さんは、異母姉妹ながらとても仲が良く、T子さんは3姉妹を法人の役員にして、一緒に賃貸経営をしてほしいと考えたのだ。役員報酬で安定した暮らしを送ってほしいという願いもあった。

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広田龍介

税理士

1952年、福島県いわき市生まれ。85年税理士登録。東京・赤坂で広田龍介税理士事務所を開設。法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用などを中心に幅広くコンサルティング活動を続けている。相続税に関する講演やセミナーも開催している。