「この人、この土地」だから生み出せる一品 フォロー

直販で年商4000万円 元会社員の有機野菜への愛

小高朋子・旅食ライター・カメラマン
久松農園でとれた冬が旬の野菜=久松農園提供
久松農園でとれた冬が旬の野菜=久松農園提供

 土の香りとほのかな甘みがかむほどに複雑さを増し、中心に向かうほど柔らかくきめ細かな食感になる大ぶりのカブは、皮をむかずに食べてほしい。刺激的な辛みと少しの苦み、ゴマのような風味が特徴のルッコラは香り高く、サラダの名脇役として活躍する。久松農園の野菜はどれも滋味深き味わいがある。

野菜の味を決める三つの要素

 早朝の気温はマイナス4度。厳しい寒さに耐えるため地をはうように葉を広げるターサイに、霜でより甘みを増す水菜やほうれん草など、畑には旬を迎えた冬野菜がモザイク状に植えられている。

 久松農園は茨城県南部の土浦市にあり、年間を通して50品目以上を露地(屋外)栽培する有機農家だ。5ヘクタールの畑を管理し、社員4人とパート3人で切り盛りしている。

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旅食ライター・カメラマン

1982年、神奈川県生まれ。アパレル業界、映像製作会社を経て、フリーランスに。持続可能なモノづくりの可能性を求めて各地を巡り、地域の食文化、工芸品、産業などを取材し、写真、映像も用いてその魅力を紹介している。現在、農業者向けのビジネススクール(オンラインアグリビジネススクール)にかかわり、各地の農業現場の取材を担当。旅と、おいしい食べものと日本酒が何よりも好き。