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「期待値が低い」損害保険を見直して家計防衛を

塚崎公義・久留米大学商学部教授
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 保険は期待値だけを考えれば損な取引です。保険会社のコストと利益を上乗せして保険料を徴収しているのだから当然のことです。損害保険に限って考えても、同じことがいえます。本当に加入が必要な保険に限定して加入するということが重要です。そこで今回は、どのような損害保険に加入すべきかを考えてみましょう。

 損害額1万円の事故が毎月必ず起きるとします。保険金は1万円ですが、保険料は1万円以上になるはずです。それなら、損害保険に入るべきではありません。ここまで極端ではなくても、「頻繁に発生するが損害額は大きくなく、事故が起きても何とかなる」という場合は、保険に加入すべきではないでしょう。

 たとえば、自動車が傷ついたり盗まれたりした場合の保険は、普通は加入する必要はないでしょう。庶民の車は安いので、盗まれてもたいした被害額ではありませんし、高級車を買う人は金持ちでしょうから、高級車が盗まれても何とかなるでしょう。もっとも、生活水準と比較して「一点豪華主義」の車を買った場合には、この限りではありません。

 保険会社は「最近自動車の盗難が頻繁に起きていますよ」といったセールストークを使うかもしれませんが、そうならば盗難増加によって保険料が値上がりしているはずですから、保険加入の理由にはなりません。もっとも、「来月から盗難保険の保険料が大幅に上がる予定です」という場合には、加入も選択肢でしょう。

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塚崎公義

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関係の仕事に従事した後、2005年に銀行を退職して久留米大学へ。「退職金貧乏 定年後の『お金』の話」「老後破産しないためのお金の教科書」「増補改訂 よくわかる日本経済入門」「世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書」「なんだ、そうなのか! 経済入門」など著書多数。